こんなに
息をつくのが
難しいと
思ったことなど
なかった
「付き合ってるんだって?」
「あぁ。」
「なんで?」
何も答える気がないのか、ただ、空を見つめている。
「侑士、あの子とは付き合わないって、いってたじゃんか。」
「告られたって話はしたけど、別に付き合わないっていってないで?」
少し笑いながら、視線だけ岳人に向けた。
「そうだけどさ・・でも跡部よりは美人じゃないって・・・」
「跡部より美人やなくても付き合えるやろ。」
空は晴天で雲ひとつなく澄み渡っているのに、空気は重たく感じた。
「跡部と、なんかあった?」
「あのなぁ、岳人。」
ため息をついて。
「俺、別にホモやないし、普通に女が好きやし、これがあたりまえやろ。」
岳人は押し黙った。
でも絞るような小声で、つぶやく。
「なんか、変だ、侑士。」
「日本語しゃべれや。」
「だって、お前、跡部のこと、好き・・・・・」
忍足は立ち上がって、フェンスに寄りかかっていた岳人を更にフェンスに押し付けた。
「跡部、跡部って、うるさいねん、お前。」
「侑士・・?」
「あぁ、お前、跡部のこと好きやったん?」
笑いながら、顔を近づけた。
「何いってんだよ、お前。」
「それとも・・俺のこと好きなん?」
そのまま、噛み付くようなキスをした。
「・・・っ、馬鹿・・!やめろよっ。」
忍足を力任せに、突き飛ばす。
「冗談、本気にすんなや。」
「おかしいよ、侑士。」
「笑えば?冗談なんやし。」
「笑えねぇよっ。」
悪びれた様子もなく、口元に笑みだけ浮かべている彼が。
痛かった。
「笑ってや、たのむから・・」
力なくその場に座り込む。
人はこんなにも弱くなれるのかと
怯えた。